2013-08-18 非存在の祭囃子 夏の夜住宅街から離れた闇の果てより祭囃子が聞こえええじゃないかの音頭に加わる農夫のごとくご禁制への嘆き一枚を痩身に纏っていた僕は音のするほうへ歩く もう少しで祭りの風景が目に入るかと思ったあたりでふっと音頭が止んだたぬきにでも化かされたかいよいよこれは江戸の農夫風の夜だなと思ったがどうも閉会したらしい 町の明かりも祭りの明かりも届かぬ路地の闇に滴る夜露の水面に僕は、永遠に知ることがかなわなくなったその祭りの情景を思い描く