犬の脚の万年筆

犬が前脚の爪でがりがりと地面に刻み込む日記です

夜風の帰還

少し冷たいこの季節の夜の風が窓から吹き込んだ瞬間

小学生の頃通っていた英語塾の帰り道に感じた風の感触を

克明に思い出した。

 

僕の肌を吹き抜け遙か記憶の地平に吹き去った風が

複雑な気流の乱反射の末、今しがた窓辺に帰ってきたのだろう

あの日感じた、陰りゆく紫色の天によく似た

深い空虚を従えて